うめはらなかせのレパートリーになった歌について

 
 
    歌についてのあれこれを、うめはらが語っていきたいと思います。
第1回「おたすけ」   第2回「I will」  第3回「Wednesday Morning,3AM」
第4回「お富さん 第4.5回「銀座カンカン娘」  第5回「leaving on a jet plane
第6回「海をみていた午後」 第7回「We Are The Champions」  
 
 
第3回は「Wednesday Morning,3AM 」です。
 
「Wednesday Morning,3AM 」はサイモン&ガーファンクルの同名アルバムのタイトル曲です。S&Gはもちろん「Sound of Silence」のヒットで一躍有名になったわけですが、たしかぼくの場合、「Scarborough Fair/Canticle」が収録された3rd.アルバム「Parsley Sage Rosemary and Thyme」を先に買った気がします。それで、とても気に入ったので、彼らのファーストアルバムである「Wednesday Morning,3AM 」を買ったわけです。そして、こちらのほうがフォーキーで、自分の好みだとわかりました。当時のアマチュアフォークコンサートでも、このアルバムに収録された「He Was My Brother」を取り上げるバンドは多かったと思います。でも、ぼくが最も好きだったのは、この曲です。
 
 
この歌は最初から最後まで、ずっとハモりっぱなし。高校生だったぼくは、サイモンとガーファンクル、両方のパートを覚えて、レコードといっしょに歌ったものです。もちろん自分で演奏してハモってみたかったのですが、いかんせん相方がいません。その夢を叶えるには30数年後、なかせさんとの出会いを待たなくてはなりませんでした。
 
・・
 
実は、なかせさんと出会う数年前に、多重録音のできる”YAMAHA SOUND SKETCHER”というデジタル録音機を買っていました。「ハモりたい!」という欲求がよほど高まっていたのでしょうね。1台4万円以上もするわりには低スペックでしたが、思いきってamazonで買いました。そして“ひとりS&G”をやって、悦に入っていたのですが、やはり生身のパートナーとリアルにハモれるに越したことはありません。そして、ようやくなかせさんと出会い、なかせさんにもこの曲を気に入ってもらえたので、早速練習に取りかかりました。うめはらなかせ結成前夜のことです。
 
・・・
 

さて、うめはらなかせのような「男女のデュオ+ギター1」というグループはあるにはあっても、実際には男女どちらかがメインボーカルを務めます。伴奏もギター 1本というのはほとんどありません。このため、うめはらなかせがハーモニーと演奏をコピーできるようなバンドはあまりないのが実情ですが、この曲(とほかにも少々)だけは数少ない例外となっています。オリジナルと同じキーで、同じ旋律を、ふたりで分担しています。ところが、単純にコピーするだけであっても、歌えるようになるまでは紆余曲折がありました。(.詳しくは「Library vol.4うめはらなかせの選曲の秘密」参照) 最初はなかなかハモらなくて苦労しましたが、うまく声がからみ合ってくると、こんなにも気持ちのいい歌はありません。メロディも、美しいハーモニー構成も、ユニークな歌詞も、すべてがあいまって、独特のS&Gワールドが広がります。この曲を足場にして、「Peggy-O」「Bookends Theme」「Song for the asking」と、S&Gのコピー曲がレパートリーとして増えていきました。

 
・・・・
 
 ライブで大勢の人に聴いていただけるのはもちろんうれしいのですが、たとえ聴いてくれる人がいなくても、ハーモニーの悦びが感じられるなら練習だけでも大満足!とぼくらはいつも思っています。そんな満足感を与えてくれる代表的な一曲が、この「Wednesday Morning,3AM 」なのです。
                                     ・・・・・
 
Wednesday Morning, 3 AM

I can hear the soft breathing
Of the girl that I love,
As she lies here beside me
Asleep with the night,
And her hair, in a fine mist
Floats on my pillow,
Reflecting the glow
Of the winter moonlight.


愛する彼女のやさしい寝息が聞こえる
彼女はぼくのすぐ横で
夜とひとつになったみたいによく眠っている
その髪は、いい匂いをさせて
ぼくの枕にまで広がり
冬の月光を受けて輝いている


She is soft, she is warm,
But my heart remains heavy,
And I watch as her breasts
Gently rise, gently fall,
For I know with the first light of dawn
I'll be leaving,
And tonight will be
All I have left to recall.


彼女はやわらかくて、あたたかくて
でも、ぼくの心は 重苦しいまま
彼女の胸がやさしく上下するのを見ている
朝の光が差したなら
ぼくはここを出ていく
この夜のことをただひとつの思い出として

Oh, what have I done,
Why have I done it,
I've committed a crime,
I've broken the law.
For twenty-five dollars
And pieces of silver,
I held up and robbed
A hard liquor store.


あぁ、なんてことをしてしまったんだ
なぜ、あんなことを
ぼくは罪を犯してしまった
法を破ったんだ
たかだか25ドルと小銭のために
酒屋で強盗を働いたんだ


My life seems unreal,
My crime an illusion,
A scene badly written
In which I must play.
Yet I know as I gaze
At my young love beside me,
The morning is just a few hours away.


ぼくの人生は現実じゃないみたい
ぼくの犯す罪は幻(まぼろし)のよう
へたな芝居の一幕を演じさせられてるような
でも、ぼくにはどうしようもなくわかっている
愛する人がすぐ隣にいるというのに
その朝がもうそこまで近づいているということを